L.A.のアイコンに迫る:フランク・ロイド・ライトのホリーホック邸

フランク・ロイド・ライトによる建築的な傑作が世界遺産に。

Exterior of Frank Lloyd Wright's Hollyhock House
Hollyhock House | Photo: Joshua White

2019年7月に、バーンズドールパークに佇む建築的な傑作のフランク・ロイド・ライトの「ホリーホック邸」が世界遺産に登録されました。ロサンゼルスの初の世界遺産に登録されるランドマークとして、ホリーホック邸がフランク・ロイド・ライトの20世紀の建築というグループの一部となっており、本人の50年にわたるキャリアから選ばれた8つの作品の一つとなります。世界で1000以上に及ぶ世界遺産の中で、アメリカには24箇所しかなく、今回のライトの作品が新たに加わります。これらの作品が、アメリカの初のモダンな建築作品となります。
 

コロナの影響により休止していたホリーホック邸は、現在、木曜日から土曜日の午前11時から午後4時まで、セルフガイド・ツアーとして再開しています。料金は大人7ドル、シニア(65歳以上)/ 学生(有効なIDをお持ちの方)は3ドルです。12歳以下の子どもは、大人が同伴していれば無料です。
 

ロサンゼルスの建築歴史において重要な存在となるホリーホック邸が、1919年〜1921年に建てられ、ライト氏によるロサンゼルスで初の建築企画となります。ホリーホック邸が音楽における「自由な形を作ること」から由来する「カリフォルニア・ロマンサ」として知られる詩的、かつ叙情的なスタイルを融合させ、LAのアートと建築における先鋭的な立ち位置を証明するものです。
 

石油で財を成したアリーン・バーンズドールが、オリーブ・ヒルで劇座、映画館、アーティスト・レジデンスや商業施設を含めた文化とアートに特化した場所の中心としてホリーホック邸を発注したものです。本人の邸宅となったホリーホック邸の建築にあたり、バーンズドール氏がライト氏に本人のもっとも好きな花のホリーホック(アオイ科)をデザインに盛り込むように依頼しました。そして、1927年にバーンズドール氏がホリーホック邸、そして後バーンズドール・パークとなった邸宅を囲む12エーカーをロサンゼルス市に寄付しました。現在、ホリーホック邸は文化局(DCA)に運営されています。

世界遺産への登録に加え、ホリーホック邸は1963年にロサンゼルス歴史文化記念物に指定され、1971年に

歴史登録財、そして2007年に国定歴史建造物に指定されました。

Hollyhock House living room and fireplace
Hollyhock House living room and fireplace | Photo: Joshua White

「ホリーホック邸はロサンゼルスのもっとも重要な文化財産となっており、フランク・ロイド・ライトの発想とアリーン・バーンズドールによるビジョンから構成された建造物となります。」とロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティは話しています。「この邸宅の歴史と優れた職人技が今後のロサンゼルス人にインスピレーションを与え続け、今回の世界遺産への登録がこの建造物に値する立ち位置となります。」

さらに、「今回の世界遺産への登録がロサンゼルスのモダン建築における豊富な歴史を表したものです。」とロサンゼルス市会議員・13地区のミッチ・オファレルはコメントしています。「フランク・ロイド・ライトのホリーホック邸は地元民に愛されている傑作で、今回は世界規模の財産となりました。フランク・ロイド・ライト建築保存協会、そして全ての関係者と共にこちらのバーンズドール・アート・パークの文化財産の保存と改造に向けて働いてきたのは光栄で、今後引き続き尽力をしてまいります。また、この協力を認定してくださった国立公園局にも感謝の気持ちを表したいと思います。」

なお、「建築家が未来を構築することは素晴らしく、その作品が街の景色の一部となることが唯一無二の瞬間です。」と文化局の局長のダニエル・ブラゼルは話しています。「フランク・ロイド・ライトのホリーホック邸の世界遺産への登録に感謝しており、その作品の優れた技能がより世界に向けて見られるよう心待ちにしています。」

Hollyhock House living room
Hollyhock House living room  |  Photo: Daniel Djang
Hollyhock House library
Hollyhock House library  |  Photo: Daniel Djang

数百万ドルに及んだ改造後、ホリーホック邸は2015年2月にリニューアルオープンしました。それに合わせ、ガルセッティ市長とオファレル市会議員がリニューアル企画の関係者と共に正式なリボンカットイベントに参加しました。「素晴らしくて、エキゾチックで奇妙な邸宅で、普通の家とは決して言えません。」と、ホリーホック邸のキュレーターのジェフリー・ハーはリニュアールの際に話しました。「また、そのデザインがユニークで、新たな生活のデザインを提案したことから重要な建築アイコンとなっています。」

ホリーホック邸のもっとも人気な部屋またはデザイン要素について聞くと、「従来は暖炉の上にあるバーレリーフやフランク・ロイド・ライトがデザインした家具があるリビングルームがもっとも人気を博していますが、直近では図書室の方が人気を得ています。」と答えるハー氏。

Hollyhock House courtyard with the Hollywood Sign and Griffith Observatory in the background
Hollyhock House courtyard with the Hollywood Sign in the background | Photo: Joshua White

ハー氏のホリーホック邸でもっとも好きな場所は内庭の北側にある列柱だということです。「午後の時間帯に日光が柱の間に入る時が素晴らしく、夜も改造された照明でもとても綺麗になっています。」

多くのディテールが潜むホリーホック邸では、秘宝もあるでしょう。それについて、ハー氏は「多くの人が見上げることなく、ロッジアにある天井の素晴らしい塑像を見逃しがちです。」と話しています。

Hollyhock House dining room
Hollyhock House dining room with furniture designed by Frank Lloyd Wright | Photo: Joshua White

来場者に向けて改造される要素を強調するというより、ハー氏は「気付かれない要素がもっとも重要な要素かもしれません。我々の目標は1921年の様子を再現することで、出来るだけ再現に見えないようにすることでした。来場者にその時に戻る機会を与えたいのです。」と話しています。

ホリーホック邸は木曜日〜日曜日、11時〜16時の間に中をガイドなしでツアーすることができます。入場料は大人7ドル、学生・シニア(身分証要提示)3ドル、大人同伴の12歳以下の子供は無料となっています。ガイド付きの屋外ツアーは一人あたり7ドル、木曜日〜日曜日、11時15分、12時、12時45分に行われます。20分間のツアーのチケットは邸宅の中を含まず、中を見るには別途入場料がかかります。さらに45分間の屋外内のツアーも提供されており、火曜日・水曜日、11時、12時半に行われ、入場料は一人当たり7ドルとなります。ご詳細については、ホリーホック邸のウェブサイトをご確認ください。

 

ホリーホック邸
Barnsdall Art Park
4800 Hollywood Blvd, Los Angeles 90027
(323) 988-0516