L.A.のアイコンに迫る:シネラマ・ドーム

The Cinerama Dome in "Once Upon a Time in Hollywood"
The Cinerama Dome is ready for its close-up in "Once Upon a Time in Hollywood" | Photo: @thejslewis, Twitter

世界のエンターテインメントの首都として、ロサンゼルスには豊富な歴史を持つ映画館がたくさんあります。その一つはモダンな建築とLAのアイコンである有名なシネラマ・ドームが挙げられます。現在サンセット大通りの「Arclight Hollywood」の一部となっているシネラマ・ドームは、直近でクエンティン・タランティーノ監督の最新作の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にも登場しています。ただし、実はこの映画館の特徴は決して最新のハリウッド映画を見るための施設ではありません。今回は、このL.A.のアイコンに迫ります。

"Godzilla: King of the Monsters" takes over the Cinerama Dome at ArcLight Hollywood
Godzilla: King of the Monsters takes over the Cinerama Dome | Photo: Reuters

シネラマ・ドームの建物について

23メートル弱もの高さがあるシネラマ・ドームは、サンセット大通りをドライブしていれば決して見逃しにくいでしょう。その巨大な構造以外には、建物の外観が内装と同じほど驚くべきものなのです。その構造自体は世界初のコンクリートで作られたジオデシック・ドームとなり、バックミンスター・フラーの技術を元に建てられ、300以上の五角形と六角形のパネルで構成されています。各パネルは1500キロ弱の重さだと言えば、ドームの丈夫さが想像できるでしょう。

中では、映画好きは最先端の技術を目にすることができ、44台以上のサラウンドスピーカー、そして天井の五角形と六角形パネルに音を吸収する素材が設置された新しく改造された音響を備えています。曲線状のスクリーンは元のサイズと形にリフォームされ、観客が実際に映画の一部だと感じるように造られています。

シネラマ・ドームの歴史

たった16週間で建てられたシネラマ・ドームはミュージック・センター、キャピトル・レコーズ・ビルディングまたはビバリー・ヒルトンを設計した企業のWelton Becket & Associatesにデザインされました。シネラマ・ドームは本来、35ミリのプロジェクター3台を同時にワイドスクリーンに投影するシネラマという技術を全米に広げるためのプロトタイプとして設計されました。しかし、その技術を用いた映画館が国内にほとんどなく、数少ないうちの一つがシネラマ・ドームとなっています。

Grand opening of Pacific Theatres Cinerama Dome on Nov. 7, 1963
Grand opening of Pacific Theatres Cinerama Dome and world premiere of "It's a Mad, Mad, Mad, Mad World" on Nov. 7, 1963  | Photo: Herald Examiner, Los Angeles Public Library

グランド・オープン

パシフィック・シアターのシネラマ・ドームは1963年11月7日に「おかしなおかしなおかしな世界」の70ミリでのプレミアを記念にオープンし、計66週間上映されました。さらに、70ミリで上映された映画は1965年の「偉大な生涯の物語」の西海岸のプレミア、同年の「バルジ大作戦」のワールドプレミア、または1968年の「北極の基地/潜航大作戦」のワールドプレミアを含みます。

The Atom Smasher at Rockaway's Playland from "This is Cinerama" (1952)
The Atom Smasher at Rockaway's Playland from This is Cinerama (1952) | Photo: UCLA Film & Television Archive

2002年のドーム

シネラマ・ドームは本来シネラマの映画を上映するために建てられたものの、実際にその技術を使った映画は2002年までに一度も上映されませんでした。その年、ドームがリニューアルされ、アークライト・シネマの注力の拠点と化しました。リニューアルに合わせて、1952年にプレミアし、上映方法を革新させた「これがシネラマだ」が上映され、初めてシネラマ・ドームで映画がシネラマで上映されることになりました。2002年3月22日に、14スクリーンの高級シアターのアークライト・ハリウッドがシネラマ・ドームの隣にオープンしました。

Water skiing show at Cypress Gardens from "This is Cinerama" (1952)
Water skiing show at Cypress Gardens from This is Cinerama (1952) | Photo: UCLA Film & Television Archive

シネラマのアート

2002年のロサンゼルス・タイムズの記事によると、シネラマのワイドスクリーンの技術を「映画に吸い込まれるような感覚で、ジェットコースターや観覧車に乗っているような気分、またはゴムボートで急流を下ったり、ユタ州のキャニオンを俯瞰して空飛ぶような感覚」と報じた。シネラマは、同期されたプロジェクター3台が曲線状のスクリーンで3分の1ずつ上映するというプロセスになります。その意図はワイドな曲線状のスクリーンに平面のスクリーンより没入感を上げることです。シネラマに対応したワイドスクリーン映画は30ほど作られており、1968年の「2001年:宇宙の旅」や2015年のクエンティン・タランティーノ監督の「ヘイトフル・エイト」を含みます。現在、シネラマに対応したシアターはシネラマ・ドームの他に、シアトル・シネラマだけとなります。

Musso & Frank Grill in "Once Upon a Time in Hollywood"
Musso & Frank Grill in "Once Upon a Time in Hollywood" | Photo: Andrew Cooper, Columbia Pictures

シネラマ・ドームの現在

2018年に55周年を迎えたシネラマ・ドームは、50年以上のプレミアの舞台となりました。直近では、2019年7月にタランティーノ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のリリースに合わせて3日間にわたる本人へのオマージュの上映が繰り広げられ、本人の映画が全て上映され、ワンス・アポン・ア・タイムの先行上映も行われました。さらに、ドームの内装がタランティーノ風に一変し、タランティーノをテーマとした飲み物やプレゼントが配られるなど盛り上がったイベントでした。

現在、ドームは引き続きロサンゼルスでのプレミアの会場として利用されており、上映後に監督との質疑応答やスペシャル・ゲストの登場、シネラマ映画の上映イベントなどが開催されています。また、一回の上映で800人も入ることができ、現在も映画好きが好むバルコニー席を備えています。

Gwen Butcher Shop & Restaurant dishes
Photo: Gwen Butcher Shop & Restaurant

ディナーと映画

シネラマ・ドームがサンセットとヴァインの交差点にあるため、その近くにたくさんの美味しいレストランが佇んでいます。ドーム周辺には、Mama Shelter、スシ・ノザワによるSugarfish、Birch、Stella Barra、Gwenそして有名となったMusso & Frankなど美味しい食事が味わえます。

 

アークライト・ハリウッド

6360 W. Sunset Blvd., Los Angeles 90028
(323) 615-​2550 
www.arclightcinemas.com/locations/los-angeles/hollywood/