裏技を使って楽しむLAの人気スポット

一味違うLAの楽しみ方

Academy Museum of Motion Pictures viewed from Fairfax Avenue
Academy Museum of Motion Pictures. Photo by Joshua White, JWPictures/©Academy Museum Foundation

ロサンゼルス空港に着陸する飛行機から、ヤシの木が並ぶ通りから、もしくは、1世紀近くにわたりロサンゼルスで撮影されてきたテレビや映画の中でなど – ハリウッドサインを眺める方法はたくさんありますが、馬に乗ってハリウッドサインの下を歩くことができるのをご存知ですか?知っているようで知らないランドマークの別の面があるものです。 裏技を使って楽しむLAの人気スポットでは、アカデミー・ミュージアムやゲッティ・センター、ベニスカナルなど、世界的に有名なロサンゼルスのアイコニックなスポットの新たな一面や散策方法をご紹介します。

アカデミー映画博物館



スティーブン・スピルバーグ監督の1975年の大ヒット作「ジョーズ」の現存する最後のサメの模型「ブルース」。これは、イタリアの有名建築家レンゾ・ピアノが設計したアカデミー映画博物館に展示されている貴重な映画芸術品の一部に過ぎません。オズの魔法使いのドロシーの赤い靴、市民ケーンのソリ、スターウォーズのC-3POやR2-D2など、映画ファン垂涎のアイテムがいたるところに展示されています。

煌めくオスカー像や代表的な衣装などアカデミー賞お墨付きの展示品もあり、中には、「Moonstruck(月の輝く夜に)」でシェールが主演女優賞を受賞する前年の1986年にアカデミー賞で着用した、ボブ・マッキーの伝説の衣装もあります。

アカデミー賞の受賞体験をできるOscars Experience(オスカー・エクスペリエンス)はいかがでしょう(要予約)。オスカー像を手渡され(重いですよ!)、受賞スピーチをする胸の高まりを体験することができます。オスカー像を持ち帰りたい方は、Museum Store(ミュージアム・ストア)でレゴや金粉をまぶしたチョコレート版オスカー像を販売しています。

映画製作に興味のある方は、映画史以前の1700年代の作品を集めたPath to Cinema: Highlights from the Richard Balzer Collection(パス・トゥ・シネマ:ハイライト・フロム・ザ・リチャード・ベルザー・コレクション)がおすすめです。評議員会のメンバーであるトム・ハンクスもお気に入りの展示です。

映画について学んだ後は、ガラス張りの未来的なデザインのスフィアビルへ。1,000席を有するDavid Geffen Theater(デビッド・ゲフィン・シアター)では、映画上映が行われます。スフィアビルがハトに包囲されないように見張っている鷹のスペンサーにも注目です。

ヒント: 時間指定の入場券を購入できるミュージアムのウェブサイトでは、レストランのFunny’s(ファニーズ)の予約も可能です。バーブラ・ストライサンドがオスカーを受賞した映画「ファニーガール」で演じたファニー・ブリスにちなんで名付けられたレストランです。

Views of the Central Garden and Pacific Ocean at the Getty Center
Views of the Central Garden and Pacific Ocean at the Getty Center  |  Photo: Yuri Hasegawa

ゲッティ・センター



サンタモニカ山脈に位置するゲッティ・センターには、どのギャラリーにも庭にも、示唆に富むものがあります。1997年12月にオープンしたこの美術館は、フィンセント・ファン・ゴッホのアイリス、ポール・セザンヌのリンゴのある静物、貴重な歴史的写本のコレクション、そして世界有数の素晴らしい写真コレクションの所蔵を誇ります。

多くの人は、ゲッティ・センターの真の傑作は、プリツカー賞受賞建築家のリチャード・マイヤー設計によるこの美術館そのものだと論じることでしょう。イタリアのバーニ・ディ・ティヴォリから切り出した30万個のトラバーチンをはじめ120万平方フィートの石材を使用して建設された24エーカーのキャンパスは、まるでオリンポス山の山頂にいるような気分にさせてくれます - オリンポス山の頂上まで行けるモノレールがあったらの話ですが。

センター内の静かな4つ庭園の中で最も目を引くのは、ロバート・アーウィンが設計した134,000平方フィートのCentral Garden(セントラルガーデン)でしょう。「常に変化し、同じことは2度とない」と飛石に記されている通り、この空間を散策している時に同様の感じを抱くでしょう。迷路のような歩道には、ブーゲンビリア、ツツジ、ラベンダー、百日紅など500種の植物が植えられ、小川やのどかな石の滝もあり、心落ち着くひと時です。

ヒント:Getty Guide app(ゲッティガイドのアプリ)をダウンロードすると、テーマに沿ったオーディオツアーを10ヶ国語で聞くことができます。

Tesla Coil at the Griffith Observatory
Tesla Coil | Photo: Griffith Observatory

グリフィス天文台



1912年、ウィルソン山天文台を訪れた実業家で慈善家のグリフィス・J・グリフィスは、ロス・フェリスの丘に天文台を建てることを思い立ちました。1935年5月に一般公開されたグリフィス天文台は、スタートレックのレナード・ニモイの名を冠したシアター、太陽系の縮尺モデル、ハリウッドの星とは異なる星の鑑賞を楽しめるプラネタリウムなどを有するワールドクラスのミュージアムです。

1日に数回、強力なテスラコイルから発する稲妻のような火花と電気音が炸裂するWilder Hall of the Eye(ワイルダー・ホール・オブ・ザ・アイ)はお見逃しなく。フレデリック・フィンチ・ストロング博士からロサンゼルス市に寄贈されたこのテスラコイルは、1937年の設置以来、長く親しまれています。

科学がこの天文台の存在理由である一方で、ここには芸術的な財宝もあります。W.M.ケック財団のセントラル・ロタンダでは、1934年に描かれたHugo Ballin Murals(ユーゴー・ボーリンの壁画)を鑑賞することができます。天井画には天空の神話の登場人物と12星座が描かれており、上部8つの壁画は科学の発展が中心となっています。

その後は、Astronomers Monument(天文学者たちのモニュメント)を眺めながら、芝生の上でピクニックをお楽しみください。オスカー像やハリウッド・ボウルのミューズ象などを手がけたジョージ・スタンレー作で、モニュメントの中にはアイザック・ニュートンも含まれています。

オスカーといえば、Rebel Without a Cause Monument(理由なき反抗のモニュメント)も必見です。1955年の代表的な映画において、天文台が果たした役割を記念するもので、主演のジェームズ・ディーンは映画公開の前月に非業の死を遂げました。ディーンの胸像はハリウッドサインを見下ろす高台にあり、映画さながらのフォトスポットです。

ヒント: 駐車場の問題を避けるには、DASH Observatory/Los Feliz公共バスをご利用ください。メトロBライン(赤)のバーモント/サンセット駅を経由します。

Sunset Ranch Hollywood riders Hollywood Sign
Photo: Sunset Ranch Hollywood

ハリウッド・サイン



ロサンゼルスを訪れたら、ハリウッド・サインを見ずには過ごせません。ハリウッドヒルズに立つ高さ15mのサインは、晴れた日には、ダウンタウンの高層ビル群からサウスLAの丘の上まで、あらゆる所から見ることができます。

ハリウッドサインは何十年にもわたり映画の魅力を象徴してきましたが、1923年の設立当初は映画産業とは関係のないものでした。元々は「Hollywoodland」と書かれていたこのサインは、ビーチウッド・キャニオンで進められていた住宅地開発の広告でした。

ハリウッド・サインを見る方法は沢山ありますが、間近で見るにはSunset Ranch(サンセット・ランチ)での乗馬が最適です。ビーチウッド・ドライブの頂上にあるこの牧場では、グリフィスパーク内の何マイルにも及ぶトレイルをガイド付きツアーで楽しむことができます。都会の喧騒を離れて、西部劇のカウボーイになった気分で起伏のある道を馬で進みます。昼と夜のツアーがあり、グリフィス天文台やダウンタウンLAのスカイライン、そしてもちろんハリウッド・サインの景色を眺めることができます。

馬に乗るのは気が進まない方には、Bikes & Hikes(バイクス&ハイクス)のような会社が徒歩で楽しめるツアーもあります。1人では行かない、また近隣住民の迷惑にならないようにしてください。

ヒント: ハリウッドサインの絶景を徒歩で楽しむなら、Griffith Park(グリフィスパーク)から始まるマウント・ハリウッド・トレイルがおすすめです。

Muhammad Ali's star on the Hollywood Walk of Fame
Muhammad Ali's star on the Hollywood Walk of Fame | Photo: @1a_786, Instagram

ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイム



世界的に知られるハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムには、ガワーストリートからラ・ブレアアベニューまでのハリウッドブルバードの両側、そしてサンセットブルバードからユッカストリートまでのヴァインストリートの3ブロックにわたり、2,700を超える星が並んでいます。Eバイクやスクーターを使って、1.3マイルの星を辿ってみましょう。ハリウッドとラ・ブレアが交差する最西端には、映画「トワイライト」の監督キャサリン・ハードウィックがデザインしたアール・デコ調のモニュメントがあり、映画製作の魅力を賛美しています。

ウォーク・オブ・フェイムに初めて飾られた星は、6100ハリウッドブルバードにあります。「Guess Who’s Coming to Dinner(招かざる客)」や「It’s a Mad, Mad, Mad Mad World(おかしなおかしなおかしな世界)」などの名作の監督兼プロデューサーのスタンリー・クレイマーの功労を称えています。オスカー女優でポールニューマンの妻のジョアン・ウッドワードは、6801ハリウッドブルバードにあるハリウッド&ハイランド正面で、星と共に写真に収められた最初の受賞者です。一年を通しノミネートされたセレブに星が贈られ、最近では、ダニエル・クレイグ、サルマ・ハエック、ミッシー・エリオットに星が授与されました。ニプシー・ハッスルは死後、Amoeba Music(アメーバ・ミュージック)の外に星が設置されました。

特定のスターをお探しなら、ウォークのofficial website(公式サイト)に全てのスターの場所と受賞者のキャリアに関する情報が掲載されています。モハメド・アリの星を探すには、下を見るのではなく、ドルビー・シアターで上を見上げてください。人々が「偉大なる預言者」の名前を踏まないよう、自分の星は歩道に埋めないよう求めました。

ヒント: セレブに星を授与するセレモニーは無料で一般公開されています。詳細はWalk of Fame website(ウォーク・オブ・フェイム公式サイト)をご覧ください。

Saber-toothed cat from Ice Age Encounters at the La Brea Tar Pits
Ice Age Encounters | Photo: La Brea Tar Pits

ラ・ブレア・タール・ピッツ



近代的なロサンゼルスの街中、ワールドクラスのミュージアムやオフィスビルが林立するミラクルマイルには、先史時代からのアスファルトの池があり、南カリフォルニアの5万年の歴史をラ・ブレア・タール・ピッツで見ることができます。

現在も古生物学者が掘削を続けており、真っ黒な沼からは、剣歯虎やマンモス、地上性ナマケモノ、ウエスタン・ホース、ダイアウルフなど、泡のわく浅い沼にはまってしまった動物たちの化石がこれまでに350万点発見されてきました。

Museum exhibitions(博物館)には代表的な化石が展示されていますが、ここは単なる遺物の展示場ではありません。化石ラボでは、科学者がProject 23(プロジェクト23)から化石を洗浄、抽出、研究しており、古生物学の現場を見ることができます。この発掘のプロジェクトは、隣接するロサンゼルス郡美術館(LACMA)の駐車場を建設中の作業員がこの化石の宝庫を発見した2006年以来、続けられています。世界で最も長い歴史を持つ都市型古生物学的発掘現場の1つであるPit91(ピット91)では、夏の間、古生物学者たちが粘着質のアスファルトをよりわける作業を見学することができます。

ヒント:受賞歴のあるジム・ヘンソン・カンパニーと共同で制作したアイスエイジ・エンカウンターズで、実物大のサーベルキャットが動き出すのをご覧ください。

ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド



1915年3月、映画界の大物プロデューサー、カール・レムリはユニバーサル・シティをオープン、15,000人とも言われる人々を世界初の映画の制作所に迎え入れました。100年以上経った今でも、映画に捧げたレムリの情熱はユニバーサル・スタジオ・ハリウッドに引き継がれています。毎年何百万もの人々が、映画制作の舞台裏を見学し、スリリングなライドを楽しみ、バタービールを味わっています。

ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターやジュラシック・ワールドは人気のライドですが、1時間ほどかけて回るStudio Tour(スタジオツアー)は、やはりこのテーマパークのメインと言えるでしょう。トラムに乗ってスタジオ内を巡り、郊外の街並みを模した建物やアルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」に登場するベイツ・モーテル、ピーター・ジャクソン監督の「キングコング:360 3D」、「ワイルド・スピード:スーパーチャージ」を見学。2022年の新作では、ジョーダン・ピール監督のホラー映画「ノープ」に登場するジュピターズ・クレームのオリジナルセットが加わりました。

有名なバックロットには、コートハウス・スクエア(「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「アラバマ物語」を撮影)、ブラウンストーン・ストリート(「アニー」「スティング」)、メディテレニアン・スクエア(「サボテンブラザース」「パイレーツ・オブ・カリビアン:デッドマンズ・チェスト」)などがあります。

他にも見どころは沢山あり、スプリングフィールドのモーズ・タバーンでダフ・ビールを楽しんだり、「ペット:オフ・ザ・リーシュ」でニューヨークを思いっきり走り回ったり、ホグズミードのお店を散策することもできます。Dark Arts at Hogwarts Castle(ホグワーツ城の黒魔術)では、音楽とライブの特殊効果で空を照らし、暗闇に隠された希望の瞬間が見つかります。

9月8日から10月31日までのHalloween Horror Nights(ハロウィーン・ホラー・ナイト)では、お化け屋敷、テラートラム、スケア・ゾーンなど、史上最恐の映画の数々がパーク内の至る所で再現されます。

ヒント: 駐車料金を節約し、メトロBライン(赤)でユニバーサル・シティ/スタジオ・シティ駅までいきましょう。そこからはフロントゲートまで無料シャトルバスがあります。

Venice Canal Historic District
Venice Canal Historic District  |  Photo: Yuri Hasegawa

ベニス運河



ゴンドリエが歌い煌びやかな光が並ぶ運河の中を、恋人と一緒に小舟に揺られて過ごす時間を想像してみてください。前世紀末のベニスビーチにはそんな光景が広がっていました。タバコ王のアボット・キニーは、コニーアイランドのように楽しく、イタリアのベニスのような文化的価値を兼ね備えた海辺のリゾートを夢見て、この地域に運河網を開発しました。

現在では、キニーが建設した当初の運河は残っておらず(1920年代に埋め立てられました)、現在はその後に作られた、シャーマン、ハウランド、リニー、キャロル、イースタン、グランドと名付けられたショートラインの運河6本残っています。90年代初頭には大規模な改修が行われ、今では個性的なバンガローやコテージが建ち並び、多彩なこのエリアの中心となっています。

運河沿いを散策し、運河にかかる9つの美しい橋を渡れば、サギやカモメ、ペリカンに出会えるかも知れません。または、パドル・メソードやSUP・イン・ベニスなどのツアー会社のプライベートツアー若しくはグループツアーに参加して、パドルボートに乗ってみるのもおすすめです。カヤックやカヌーのようなエンジンのない小型ボートなら、大運河の端にある乗り場で楽しむことができます。サンライズとサンセット時は、水面に黄金色の光が煌めき、周囲の街並みは静かで落ち着いた雰囲気に包まれるので、パドリングには最も魅力的な時間帯です。

ヒント: この運河の創始者にちなんで名付けられたアボット・キニーの近くには、高級ブティックや高評価のレストランが並ぶトレンディな通りがあります。

ワーナー・ブラザース・スタジオツアー・ハリウッド



ワーナー・ブラザース・スタジオのバックロットにある37のサウンドステージは、長年にわたり様々な役割を担ってきました。1942年、ステージ7は「カサブランカ」のリックス・カフェの内装として使用され、1985年にはステージ16は「グーニーズ」の片目のウィリーの海賊船が座礁したオレゴンの海岸の洞窟として使用されました。1987年のステージ12には、「ロストボーイ」のクールなヴァンパイアたちがたむろしていた洞窟が作られました。

ワーナー・ブラザース・スタジオツアー・ハリウッドは、1927年にハリー、サム、アルバート、ジャックのワーナー兄弟が設立した創造性に溢れる革新的なポップカルチャーの歴史を学べる場所でもあります。このスタジオは、ハンフリー・ボガート、ジェームズ・キャグニー、ベティ・デイヴィス、ジョーン・ブロンデルなどの伝説的な俳優が出演するハードボイルドなドラマで長く知られていました。今日では、多くの人は、「ビッグバン・セオリー」や「フレンズ」などの近年の作品のセットを見るためにツアーに参加します。セントラル・パーク・カフェで軽食をとり、モニカのアパートを再現した部屋で寛ぐことを楽しみにしているファンも多いことでしょう。ツアーでは、代表的なバックロット、インタラクティブな体験、更にはワンダーウーマンの金の投げ縄や伝説のバットモービルに触れることもできるDCスーパーヒーローとヴィランズの展示室を案内します。

ゴルフカートや自転車で急いで移動している人を見つけたら、スタジオを移動しているセレブかも知れませんよ。

スタジオツアーで最もクールな場所の一つは、セットに命を吹き込むための家具、家電、アクセサリーが何千と集められている小道具置き場の倉庫でしょう。

ヒント:サウンドステージには撮影された代表的な映画やテレビ番組を記したプレートが掲げられています。ツアー中に探してみてください。

Watts Towers in South Los Angeles
Watts Towers  |  Photo: Yuri Hasegawa

ワッツタワー



サバト・サイモン・ロディアは、1931年から1954年にわたりサウスLAの景観を特徴づける17の塔を独りで制作。それはジャズ界の大物チャールズ・ミンガスから彫刻家のノア・プリフォイまで、多くのアーティストやミュージシャンに影響を与えるものとなりました。ロディアは自身の作品を「Nuestro Pueblo(私たちの町)」と呼んでいましたが、今日ではワッツ・タワーとして知られています。

サンタアナブルバードとグラハムアベニューが交わる三角形の土地に立つ、3つの高い塔のシルエットが特徴的なこのタワーは、ロサンゼルスのアイコンでもあります。スチールの骨組みの円錐形は99.5フィートあり、このタワーがアウトサイダー・アートの唯一無二の作品であることは近づいてみなければ分からないでしょう。

この骨組を包むコンクリートには、廃棄されたビンや割れたタイル、地元の海岸で拾った貝殻などを使ったカラフルなモザイクが埋め込まれており、ソーダや陶器の流行から海洋生態系の健全性まで、LAの数十年の歴史を明らかにするストーリーとなっています。

LACMAの研究者は、ロディアがモザイクに使用したひびや割れた陶器(大量生産された食器、マグカップ、ピッチャー、ボウル)の多くが、バーノンのバーノンキルンズやマンハッタンビーチのメトロックスポタリーといった地元の製造業者のものだと突き止めました。タワーのコンクリート表面に埋め込まれた破片をよく見ると、どの陶器工場で作られたものか、また当時の家庭で使われていたものを感じ取ることができます。

ワッツタワーは美術愛好家だけのものではありません。海洋科学者は、タワーに埋め込まれたロディアの貝殻を研究し、1930年代から40年代にかけて南カリフォルニアの沿岸に多く生息していた軟体動物や腹足類を突き止めました。

ヒント:現在、タワーを囲むフェンスの中に入ることはできませんが、周辺を巡るガイドツアーが週に数日、無料で開催されています。スケジュールはWattstowers.orgでご確認ください。