スカーボール・カルチュラル・センターで開催中のロイ・リキテンスタイン展を見に行こう!(パート1)

Roy Lichtenstein, "Bedroom at Arles" installation at Skirball Cultural Center | Photo by Daniel Djang

アメリカ合衆国の画家ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein、1923年10月27日 - 1997年9月29日)はアンディ・ウォーホルらとともに20世紀で最も影響を与えたポップ・アーティストとして名が知られています。ライン(線)にドット(点)、ヴィヴィッドな色を使って表現した日常の風景画が特に有名で、漫画の要素を取り入れた独特な作品はポップアートの先駆として一大ムーブメントを起こしました。

Bretwoodにスカーボール・カルチュラルセンターでは、現在アーティストとポップカルチャーの歴史にスポットを当てた『Pop for the People: Roy Lichtenstein in L.A.』が開催されています。ロサンゼルスにおいて、板目木版やシルクスクリーンなどの芸術的なデザインや複製の製作であるプリントメイキングが再度ブームとなった事で、一般的にもアート作品が購入しやすくなり庶民もアートを身近に感じ取れる様になった歴史的背景や、リキテンスタインの人生と作品、そしてポップアートに与えたインパクトを詳しくひもといています。

今回はそんな注目の展覧会にスポットを当て、3回に渡って特集致します!どうぞお楽しみに!

Property of Discover Los Angeles
Roy Lichtenstein, "Sunrise," 1965. Collection of the Jordan Schnitzer Family Foundation. © Estate of Roy Lichtenstein

 

『Pop for the People:Roy Lichtenstein in L.A』は、2017年の3月12日まで開催されています。展覧会では40年以上にわたって制作された70点以上のリキテンスタイン作品を見ることができます。世界的にも有名な Ten Dollar Bill (1956)、Sunrise (1965)、Shipboard Girl (1965)をふくめ、L.Aプリンティング業界の老舗といわれるGemini G.E.Lとコラボレーションした作品が20点以上展示されています。ファンにとってはたまらない作品たちばかりですよ!

Property of Discover Los Angeles
Roy Lichtenstein, "Ten Dollar Bill (Ten Dollars)," 1956. Collection of Jordan D. Schnitzer. © Estate of Roy Lichtenstein

NO ROOM FOR ANOTHER ABSTRACT EXPRESSIONIST

キャリア初期、リキテンスタインは1950年代からアメリカン・アートのメインストリームとなっていた抽象画家たちの間で自身のポジションを見いだすことができず葛藤していました。スカーボールで展示中の代表作「Ten Dollar Bill(1956)」は、リキテンスタインが最初に発表したポップアート(の一つ)といわれています。自身のスタイルを模索する中で、日常の生活で見かけるものをアートの対象にするという新たな試みをはじめて形にした作品だといえるでしょう。

Property of Discover Los Angeles

COMIC BOOKS

「私のアート作品は、ある意味すべてが他のアートをテーマにしたものである。ときにそれは漫画となり得る」

そう語っていたリキテンスタインは、すでに存在するアートをベンダイ行程で制作した「点」、スタイリッシュな「線」、そして大胆な三原色をもちいて自らのアート作品として発表していました。特にコミック作品においては、そのストーリーや描写が人と人の感情をつなぐ大切なツールであるととらえていたようです。「コミックを通して愛や戦争を体験する事で、さまざまな感情を育て上げようとしていた」と話しています。

スカーボールでは、コミック・ワークとして有名な Whaam!(1963)や、As/Opened Fire (1964)が、オリジナルのコミック本と一緒に展示されています。コミックブックや広告、子供向けの本などからインスピレーションをうけ、作品を発表したことにより一般的な「イメージ」を高レベルのアートとしてとらえることに成功したリキテンスタインは、庶民により身近なものに注目して過ごすことの大切さを教えてくれたのでした。

リキテンスタインがなぜ作品の題材にコミックを使うことにこだわったかは、彼が第2次世界大戦中アメリカ軍に入った経験が大きく関係しているといわれています。軍のキャンプで、彼はユダヤ人の将校でコミックブックのイラストレーターとして知られていたIrv Novickに出会っています。リキテンスタインのアーティストとしての才能を見抜いた将校は、軍のポスターやサインをデザインさせていたそうです。Whaam!のインスピレーションとなったコミックは、実はNovick将校の作品でもあり軍での体験がリキテンスタインを画家としても大きく成長させたことは間違いないでしょう。

パート2では、リキテンスタインが活躍した時代の歴史的背景をさらに詳しくお届けします。どうぞお楽しみに!