『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ロケ地巡りガイド・決定版(後半)
1960年代からインスパイアされた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のロケ地を発見!
前半に続き、タランティーノ監督が自ら「ロサンゼルスへのラブレター」と呼んでいる9作目の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のロケ地情報をどんどんご紹介していきます!
LAX
LAXに一度来られた方なら、きっとチャールス・クラトカによるカラフルなモザイク象を見たことがあるでしょう。Daily Breeze誌によると、長年サウス・ベイに居住していたクラトカ氏は、パサデナ生まれでUCLAとアートセンターに在学していました。空港のリニューアル計画の一環として、荷物受取につなぐトンネル7つのうち5つにモザイク象が設置されました。2007年にクラトカ氏が亡くなって以来、当時同じチームで活動していたジャネット・ベネットというアーティストがモザイクのコンセプトを自分のものだと述べました。鮮やかな色は飛行機の長距離フライトを象徴し、青は海、緑、黄色と茶色が陸を象徴しています。
現在、モザイク象はターミナル3、4と6で見ることができます。『ワンス・アポン・ア・タイム』の序盤に、シャロン・テイトとロマン・ポランスキー(ラファル・ザヴィェルハ)がLAに着陸するシーンでターミナル6のモザイク象が登場し、その後リック・ダルトン、フランチェスカ・カプッチ(ロレンツァ・イッツォ)とクリフ・ブースがローマから帰ってくるシーンでも再度登場します。モザイク象はタランティーノ監督の『ジャッキー・ブラウン』、その他に『フライングハイ』、『卒業』、『殺しの分け前/ポイント・ブランク』、または『マッド・メン』などにも登場しています。
Musso & Frank Grill
ハリウッドの最も老舗のレストランとして、「Musso & Frank Grill 」(6667 Hollywood Blvd, Hollywood 90028)は『ワンス・アポン・ア・タイム』の予告編をはじめ、多くのプロモーション素材に登場しています。本店で撮影されたシーンで、ダルトンが本人の大ファンというマルヴィン・シュワルツ(アル・パチーノ)と会い、ローマのマカロニ・ウェスタンに出演するようにオファーを受ける場面があります。
「Musso's」は2019年に100周年を迎え、そのマティーニと、そしてこれまで来店してきたチャールズ・チャップリン、マリリン・モンロー、キース・リチャーズやジョニー・デップなどのセレブ御用達で有名です。また、「Musso's」はウィリアム・フォークナーをはじめ、F・スコット・フィッツジェラルドやナサニエル・ウェスト、ウィリアム・サローヤン、ドロシー・パーカーなど、多くの作家が集まる人気店となっています。
Architectural Digest誌のインタビューによると、アカデミー賞の美術賞も受賞したバーバラ・リンは、「クエンティンは常連で長年通っています。スタッフに好かれていることもあり、撮影のためにお店を5日間も閉店していただけました。内装はずっと変わらず、奇跡的に60年代に出されていた料理まで提供していただきました。」と「Musso's」での撮影を振り返りながら話しています。
Playboy Mansion
プレイボーイ誌の設立者であるヒュー・ヘフナーが1974年から2017年まで住んでいたプレイボーイ・マンション(10236 Charing Cross Road, Los Angeles 90024)がパーティーのシーンでロケ地として利用されました。ビバリー・ヒルズの近くにあるホルンビー・ヒルズに位置するこの豪邸は1970年代にヘフナー氏主催のお金持ちが集まるパーティーで有名になりました。
現在、プレイボーイ・マンションは投資家のディーン・メトロプロスの息子であるダレン・メトロプロス氏が所有しており、今でもあらゆるイベントや撮影で利用されています。
Pussycat Theatre (Swissx Lounge)
1940年5月にニュース・ビューとしてオープンしたこちらのシアターは、1974年11月にPussycatというアダルトシアターチェーンに傘下することになりました。1975年3月に名前が正式に「Pussycat Theatre」に改名し、それに合わせて猫娘のロゴと新しい外観が建てられました。その最も有名な作品は「ディープ・スロート」というもので、閉店するまで10年間ほど上映され、その後シアターは「Ritz」という名前に改名しました。さらに2017年12月に「Hologram USA Hollywood」に改名し、2018年12月に閉店しました。
Spahn Ranch (Corriganville Park)
「Spahn Ranch」は55エーカーのロケ地として使われていた牧場として、恐ろしいことに1968年から1969年にかけてマンソン・ファミリー、そしてテート・ラビアンカ兄弟が住んでいたことで有名になりました。当時、80歳のジョージ・スパーン(ブルース・ダーン)がオーナーで、俗事や女性との性的なサービスの代わりにマンソンたちを住ませていました。1970年9月に牧場の大半が火事で全焼しました。現在「Santa Susana Pass State Historic Park」の一部として、スパーン・ランチでアトラス・オブスクラなどの団体がマンソン・ファミリーの隠れ家ツアーを提供しています。
『ワンス・アポン・ア・タイム』では、スパーン・ランチのロケ地にシミ・バレーの「Corriganville Park」が採用されました。スタントマン兼俳優のレイ・コリガン氏に所有されているこちらのロケ地は、3500本以上の映画、テレビ番組またはCMで利用されてきました。現在、そのロケ地には5つのハイキング・コースがあり、246エーカーにおよぶ敷地を回ることができます。
The Supply Sergeant + Peaches Records & Tapes
Variety誌によると、タランティーノ監督がデジタルセットを使わないことにこだわったこともあり、美術監督のバーバラ・リンが1969年のハリウッド大通りを再現するために巨大な壁面を建て、クレーンで移動させたということです。1960年代の世界観を再現すべく、何十台のビンテージカーも設置されました。設置された壁面は、「The Supply Sergeant」(6664 Hollywood Blvd, Hollywood 90028) から1980年に閉店したPeaches Records & Tapesまで含みました。ロサンゼルス市との交渉の結果、一度で道路の片方しか撮影することができず、その数ヶ月後道路の反対側がラッピングされ、シーンの残りのパートが撮影されたといいます。
Vine Theatre (Dolby Screening Room)
1940年5月にアドミラル・シアターとしてオープンし、こちらのロケ地はその後バイン・シアターに改名しました。ドルビー・ラボラトリーズが2015年5月に同施設を再オープンし、プロフェッショナルに向けてドルビーの技術を紹介するための「Dolby Screening Room」としてリニューアルしました。こちらのショールームはハリウッドとバインの交差点に位置しています。 (6321 Hollywood Blvd, Los Angeles 90028).
Vogue Theatre (Cabo Cantina)
チャールス・リーにデザインされたもう一つのシアターとして、ヴォーグ・シアター(6675 Hollywood Blvd, Los Angeles 90028) は1935年6月に「Musso & Frank Grill」の隣にオープンしました。最近、こちらの施設は映画のコレクターズアイテムのオークションハウス「Screenbid」として活用され、現在「Musso's」の真隣のウォーグ・スペースに「Cabo Cantina」(6669 Hollywood Blvd, Los Angeles 90028)があります。
The Frameの取材で、『アリー/ スター誕生』や『ハー』を手掛けたロケ地担当のリチャード・シューラーは「左側にあるCabo Cantinaを全てなくし、当時そこにそびえていたヴォーグ・シアターを誠実に再現しました」と話しています。
おわりに
さて、今回のロケ地ガイドでは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に登場する16カ所のロケ地を前編・後編に分けてご紹介しました。実は、もっとたくさんのロケ地があるので、ぜひLAに来た時探してみてくださいね!